カセットコンロは在宅避難の熱源として役立つ

災害時の備えというと、水、非常食、簡易トイレ、懐中電灯、モバイルバッテリーなどを思い浮かべる方が多いと思います。

しかし、在宅避難を考えるなら「熱源」も大切です。

停電やガス停止が起きると、普段のように電子レンジ、炊飯器、IHクッキングヒーター、ガスコンロが使えなくなることがあります。

そのようなとき、カセットコンロがあると、お湯を沸かす、レトルト食品を温める、カップ麺を作る、簡単な調理をするといったことができます。

災害時に温かい食事や飲み物を用意できることは、体を温めるだけでなく、不安な気持ちを落ち着ける助けにもなります。

特に冬の停電時や、小さな子ども・高齢の家族がいる家庭では、温かいものを用意できるかどうかは大きな違いになります。

ただし、カセットコンロは火を使う道具です。

便利な一方で、使い方を誤ると火災、やけど、爆発、一酸化炭素中毒などの危険があります。

防災用に備えるなら、ガスボンベの本数だけでなく、安全な使い方も必ず確認しておきましょう。

災害時にカセットコンロが必要になる理由

カセットコンロは、災害時の在宅避難で役立つ熱源です。

なぜ必要とされるのか、具体的に見ていきましょう。

停電しても使える

停電すると、電子レンジ、炊飯器、IHクッキングヒーター、電気ポットなどが使えなくなることがあります。

ポータブル電源があれば一部の電気製品を使える場合もありますが、電子レンジや電気ケトルなどは消費電力が大きいため、ポータブル電源だけで長時間使うのは難しい場合があります。

カセットコンロは電気を使わず、カセットボンベのガスで火をつけるため、停電時でも使いやすい調理手段です。

スマートフォンや照明にはポータブル電源、調理にはカセットコンロというように、役割を分けると災害時の備えが現実的になります。

都市ガス・プロパンガスが止まっても調理できる

地震などの災害では、都市ガスやプロパンガスが使えなくなることがあります。

ガスの供給が止まると、普段使っているガスコンロや給湯器が使えません。

その場合でも、カセットコンロとガスボンベがあれば、簡単な調理や湯沸かしができます。

災害時の食事では、調理器具や水を多く使う料理は難しくなります。

それでも、カセットコンロがあれば、レトルト食品を温めたり、スープを作ったり、お湯で戻す食品を食べやすくしたりできます。

非常食の選択肢が広がる

非常食には、そのまま食べられるものと、水やお湯が必要なものがあります。

アルファ米、フリーズドライ食品、カップ麺、スープ、レトルト食品などは、お湯があると食べやすくなります。

カセットコンロがない場合、食べられるものは常温でそのまま食べられる食品に限られがちです。

もちろん、缶詰や栄養補助食品、ようかん、ビスケットなども大切です。

しかし、災害時に冷たいものばかりでは、心身の負担が大きくなることがあります。

カセットコンロがあると、非常食の選択肢が広がります。

温かい食事や飲み物を用意できる

災害時に温かい食事や飲み物を用意できることは、想像以上に大切です。

温かいスープ、お茶、味噌汁、レトルト食品、カップ麺などは、体を温めるだけでなく、気持ちを落ち着ける助けにもなります。

特に冬場は、温かいものがあることで寒さ対策にもなります。

小さな子どもや高齢者にとっても、食べ慣れた温かい食事は安心につながります。

ガスボンベは何本備えるべき?

カセットコンロを備えるときに迷いやすいのが、ガスボンベの本数です。

カセットコンロ本体だけあっても、ボンベがなければ使えません。

目安は1人1週間あたり約6本

公的な備蓄情報では、カセットボンベは1人1週間あたり約6本が目安とされています。

これは、災害時にお湯を沸かしたり、レトルト食品を温めたり、簡単な調理をしたりすることを想定した目安です。

ただし、実際に必要な本数は、使い方によって変わります。

1日に何回使うのか。

お湯を沸かすだけなのか、調理にも使うのか。

家族人数は何人か。

冬場か夏場か。

非常食の内容は何か。

こうした条件によって、必要本数は変わります。

家族人数別の備蓄目安

1週間分を目安にすると、家族人数別のカセットボンベ本数は次のように考えられます。

  • 1人:6本程度
  • 2人:12本程度
  • 3人:18本程度
  • 4人:24本程度

この本数を見ると、かなり多く感じるかもしれません。

ただし、これは1週間分の目安です。

いきなり全量をそろえるのが難しい場合は、まず3日分を目標にし、少しずつ増やしていくとよいでしょう。

3日分で考える場合の目安

1週間で6本を目安にすると、3日分では1人あたり2〜3本程度が目安になります。

家族人数別に考えると、以下のようになります。

  • 1人:2〜3本
  • 2人:4〜6本
  • 3人:6〜9本
  • 4人:8〜12本

まずはこの程度を備えておき、在宅避難を重視する家庭では1週間分へ増やしていくと無理がありません。

使い方によって必要本数は変わる

ガスボンベの本数は、使い方によって大きく変わります。

お湯を沸かすだけなら消費量は比較的少なく済みます。

一方で、煮込み料理や長時間の調理をすると、ボンベの消費は増えます。

災害時は、ガスボンベを節約するために、短時間で調理できる食品を選ぶことも大切です。

たとえば、以下のような食品はカセットコンロと相性がよいです。

  • レトルト食品
  • フリーズドライ食品
  • アルファ米
  • カップ麺
  • スープ
  • 缶詰
  • パックごはん
  • 早ゆでパスタ
  • 即席味噌汁

長時間煮込む料理より、短時間で温められる食品を備えておくと、ガスボンベを節約しやすくなります。

カセットコンロでできること

災害時にカセットコンロがあると、食事の選択肢が広がります。

お湯を沸かす

まず役立つのが、お湯を沸かすことです。

お湯があれば、以下のようなものを用意できます。

  • カップ麺
  • スープ
  • 味噌汁
  • インスタント食品
  • お茶
  • コーヒー
  • 粉ミルク用の湯冷まし
  • アルファ米
  • フリーズドライ食品

災害時は水を節約する必要があります。

やかんや鍋で必要な分だけお湯を沸かし、無駄なく使うことが大切です。

レトルト食品を温める

レトルトカレー、レトルト丼、パスタソース、惣菜パックなどは、湯せんで温められるものがあります。

温めることで、非常食でも食べやすくなります。

ただし、湯せんに使った水は飲用には向かない場合があります。

水が限られているときは、調理方法も考えておきましょう。

アルファ米やカップ麺を食べやすくする

アルファ米は水でも戻せますが、お湯を使うと短時間で食べやすくなります。

カップ麺やフリーズドライ食品も、お湯があることで準備しやすくなります。

災害時に食べ慣れた味を用意できることは、家族の安心にもつながります。

簡単な調理をする

カセットコンロがあれば、簡単な調理もできます。

ただし、災害時は水や燃料、洗い物を減らすことを意識しましょう。

おすすめは、鍋ひとつで作れる料理です。

たとえば、以下のようなものです。

  • スープ
  • 雑炊
  • うどん
  • パスタ
  • 缶詰を使った温かい料理
  • パックごはんの温め
  • レトルト食品の湯せん

洗い物を減らすために、ラップ、ポリ袋、紙皿、割り箸も一緒に備えておくと便利です。

カセットコンロとポータブル電源の違い

カセットコンロとポータブル電源は、どちらも災害時に役立つ防災用品です。

ただし、役割が違います。

カセットコンロは、調理や湯沸かしのための熱源です。

ポータブル電源は、スマートフォン充電、照明、電気毛布、小型扇風機、冷蔵庫の一時使用など、電気を使うための備えです。

災害時には、両方あると役割分担ができます。

たとえば、調理はカセットコンロで行い、スマートフォンや照明はポータブル電源でまかなう。

このようにすれば、ポータブル電源の容量を電気製品に使いやすくなります。

もしポータブル電源だけで電気ケトルや電子レンジを使おうとすると、消費電力が大きく、容量を一気に使ってしまうことがあります。

防災用として考えるなら、調理はカセットコンロ、電気はポータブル電源という分け方が現実的です。

カセットコンロを安全に使う注意点

カセットコンロは便利ですが、使い方を誤ると重大な事故につながります。

防災用に備えるなら、安全な使い方も必ず確認しておきましょう。

換気をする

カセットコンロを室内で使う場合は、換気が必要です。

換気が不十分な状態で火を使うと、不完全燃焼によって一酸化炭素が発生するおそれがあります。

一酸化炭素は無色・無臭で気づきにくく、危険な気体です。

使用中は、換気扇を回す、窓を少し開けるなど、十分に換気しましょう。

停電時で換気扇が使えない場合は、窓を開けて換気します。

ただし、台風や暴風雨の最中に無理に窓を開けるのは危険です。

安全に換気できない状況では、使用を控える判断も必要です。

大きすぎる鍋や鉄板を使わない

カセットコンロ全体を覆うような大きな鍋や鉄板は使用しないでください。

熱がこもり、カセットボンベが過熱されるおそれがあります。

ボンベが異常に熱くなると、破裂や爆発につながる危険があります。

防災用として使う鍋ややかんは、カセットコンロに合った大きさのものを選びましょう。

指定されたボンベを使う

カセットコンロには、指定されたカセットボンベがあります。

必ず取扱説明書を確認し、指定されたボンベを使用しましょう。

指定外のボンベを使うと、ガス漏れや火災の原因になる可能性があります。

災害時に慌てないためにも、普段からコンロとボンベをセットで確認しておきましょう。

電磁調理器やガスコンロの上で使わない

カセットコンロを、IHクッキングヒーターやガスコンロの上で使うのは危険です。

誤って電源や火が入ると、カセットボンベが過熱され、爆発するおそれがあります。

災害時はキッチンが片付いていないこともありますが、必ず安定した平らな場所で使用しましょう。

調理以外の用途に使わない

カセットコンロを調理以外の用途に使うのは危険です。

たとえば、木炭や練炭の火おこし、暖房代わり、衣類の乾燥などには使わないでください。

カセットボンベが過熱されたり、火災や一酸化炭素中毒につながったりする可能性があります。

カセットコンロは、あくまで調理用の器具です。

古いコンロやボンベを確認する

カセットコンロやガスボンベには使用期限の目安があります。

農林水産省の食品ストックガイドでは、カセットボンベは約7年、カセットコンロは約10年が使用期限の目安として案内されています。

古いボンベやコンロは、ゴム部品やパッキンが劣化している可能性があります。

防災用品として長く保管している場合は、定期的に確認しましょう。

確認したいポイントは以下です。

  • ボンベにさびがないか
  • ボンベが変形していないか
  • ガス漏れのようなにおいがないか
  • コンロの火が正常に出るか
  • 接続部に異常がないか
  • 取扱説明書が残っているか
  • 製造年や使用期限の目安を確認したか

不安がある場合は、使用を避けましょう。

ガスボンベの保管方法

ガスボンベは、保管方法にも注意が必要です。

高温になる場所、直射日光が当たる場所、火気の近く、湿気の多い場所は避けましょう。

保管時に注意したい場所は以下です。

  • 車内
  • ベランダ
  • 直射日光の当たる窓際
  • 暖房器具の近く
  • コンロのすぐ横
  • 浴室や湿気の多い場所
  • 屋外物置の高温になる場所

カセットボンベは、涼しく乾燥した場所に保管するのが基本です。

また、災害時にすぐ使えるように、カセットコンロとボンベを近い場所に保管しておくと便利です。

ただし、火気の近くに置きっぱなしにするのは避けましょう。

備蓄したボンベは、古いものから使い、新しいものを買い足すローリングストックの考え方で管理すると無駄が出にくくなります。

災害時に一緒に備えたいもの

カセットコンロを防災用に備えるなら、一緒に用意しておきたいものがあります。

  • カセットボンベ
  • やかん
  • レトルト食品
  • アルファ米
  • フリーズドライ食品
  • カップ麺
  • スープ
  • パックごはん
  • 缶詰
  • 紙皿
  • 紙コップ
  • 割り箸
  • ラップ
  • アルミホイル
  • ポリ袋
  • ごみ袋
  • ウェットティッシュ
  • 軍手
  • 消火器または消火スプレー

災害時は、洗い物を減らすことも大切です。

紙皿にラップを敷いて使えば、食器を洗う水を節約できます。

湯せんや簡単な調理をする場合も、使い捨て手袋やウェットティッシュがあると衛生面で安心です。

買う前に確認したいチェックリスト

カセットコンロとガスボンベを防災用に準備する前に、次の点を確認しましょう。

  • カセットコンロ本体はあるか
  • 正常に点火するか
  • 取扱説明書はあるか
  • 指定されたボンベを確認したか
  • ガスボンベは何本あるか
  • 家族人数に対して本数は足りるか
  • 3日分か1週間分か、目標を決めたか
  • ボンベの使用期限の目安を確認したか
  • ボンベにさびや変形がないか
  • 保管場所は高温にならないか
  • 大きすぎる鍋や鉄板を使う予定がないか
  • 換気できる場所で使えるか
  • 子どもの手が届かない場所に保管できるか
  • 実際に一度使ったことがあるか
  • 非常食と組み合わせて使うイメージがあるか

防災用品は、買って終わりではありません。

カセットコンロも、平常時に一度使ってみることが大切です。

実際にお湯を沸かしてみる、レトルト食品を温めてみる、ボンベの交換をしてみる。

こうした経験があるだけで、災害時に慌てにくくなります。

まとめ|カセットコンロは「温かい食事」を支える重要な備え

カセットコンロは、災害時の在宅避難で役立つ重要な防災用品です。

停電やガス停止が起きても、お湯を沸かす、レトルト食品を温める、アルファ米やカップ麺を食べやすくする、簡単な調理をすることができます。

特に、温かい食事や飲み物を用意できることは、体を温めるだけでなく、不安な気持ちを和らげる助けにもなります。

ガスボンベの備蓄目安は、1人1週間あたり約6本です。

家族人数別に考えると、1週間分では以下が目安になります。

  • 1人:6本程度
  • 2人:12本程度
  • 3人:18本程度
  • 4人:24本程度

まず3日分から始める場合は、1人あたり2〜3本程度を目安にするとよいでしょう。

ただし、必要本数は使い方によって変わります。

お湯を沸かすだけなのか、調理にも使うのか、非常食の内容や季節によっても違います。

カセットコンロは便利ですが、使い方を誤ると危険です。

換気をする。

大きすぎる鍋や鉄板を使わない。

指定されたボンベを使う。

電磁調理器やガスコンロの上で使わない。

調理以外の用途に使わない。

古いボンベやコンロを確認する。

こうした基本を守ることが大切です。

防災用としては、ポータブル電源とカセットコンロを役割分担して備えるのがおすすめです。

スマートフォン充電や照明にはポータブル電源。

調理や湯沸かしにはカセットコンロ。

このように分けると、停電時の生活を支えやすくなります。

まずは、カセットコンロ本体があるか、ガスボンベが何本あるかを確認しましょう。

不足している場合は、家族人数に合わせて少しずつ備えていくことが大切です。

参考情報

本記事は、以下の公的機関等の情報を参考に作成しています。

・政府広報オンライン
 「今日からできる食品備蓄。ローリングストックの始め方」
 確認日:2026年6月5日
 ライフライン停止に備えて水とカセットコンロなどの熱源は必需品であり、カセットボンベは1人で1週間あたり約6本必要と案内されています。

・農林水産省
 「災害時に備えた食品ストックガイド(7)熱源を確保しよう」
 確認日:2026年6月5日
 地震などの災害発生後、電気・ガスが復旧していない場面で温め・湯沸かし・調理をするのにカセットコンロが便利であること、カセットボンベは1人1週間あたり約6本、使用期限の目安はボンベ約7年・コンロ約10年と案内されています。

・農林水産省
 「知って備える 家庭備蓄のイロハ」
 確認日:2026年6月5日
 災害発生後に電気やガスが復旧していない場面で、カセットコンロやカセットボンベが熱源として重要であることが紹介されています。

・独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)
 「Vol.469 1月28日号『カセットこんろの事故』」
 2025年1月30日掲載
 カセットこんろは防災用品としても便利である一方、カセットボンベが異常に熱くなるような誤った使い方により、破裂や人的被害につながる事故があることが注意喚起されています。

・東京消防庁
 「カセットこんろの誤使用・誤廃棄による事故に注意!」
 確認日:2026年6月5日
 電磁調理器の上で使用・保管しないこと、大きな調理器具を使用しないこと、指定されたボンベを使用すること、調理以外の用途に使用しないことなどが案内されています。

・東京消防庁
 「住宅で起きる一酸化炭素中毒事故に注意!」
 確認日:2026年6月5日
 火気設備・器具を使用する際は、換気扇の使用や定期的に窓を開けるなどして十分な換気を行うことが案内されています。

確認日:2026年6月5日

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家庭防災の教科書 編集部
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