簡易トイレは何回分必要?家族人数別に解説
簡易トイレは1人1日5回分が目安
災害に備えて水や非常食を用意している家庭は増えています。
一方で、意外と後回しになりやすいのがトイレの備えです。
しかし、地震や台風などで断水が起きると、水洗トイレが使えなくなることがあります。
また、排水管や下水道が損傷している場合、水があってもトイレを流してはいけないことがあります。
災害時のトイレ対策として、まず考えたいのが簡易トイレや携帯トイレです。
必要な目安は、1人1日5回分です。
つまり、家族の人数と備えたい日数に応じて、
1人1日5回 × 家族の人数 × 日数
で必要回数を考えます。
たとえば、4人家族で3日分を備えるなら、
5回 × 4人 × 3日 = 60回分
が目安です。
1週間分なら、
5回 × 4人 × 7日 = 140回分
が目安になります。
数字で見ると多く感じるかもしれません。
しかし、トイレは我慢できるものではありません。
水や非常食と同じくらい、家庭の防災で優先したい備えです。
最低3日分、できれば7日分を備える
簡易トイレや携帯トイレは、まず最低3日分を目標に準備しましょう。
1人1日5回で考えると、3日分は1人あたり15回分です。
できれば、7日分まで備えておくと安心です。
7日分なら、1人あたり35回分です。
災害時は、すぐに水道や下水道が復旧するとは限りません。
また、避難所のトイレが混雑したり、衛生状態が悪化したりすることもあります。
自宅に大きな被害がなく、在宅避難をする場合でも、トイレが使えなければ生活は大きく制限されます。
特に、マンションでは断水や停電の影響で給水設備が止まることがあります。
地震後に排水管の安全確認ができるまでは、水を流すことを避けた方がよい場合もあります。
そのため、自宅のトイレに設置して使える携帯トイレや、組み立て式の簡易トイレを備えておくことが大切です。
家族人数別・簡易トイレの必要回数
ここでは、1人1日5回を基準に、家族人数別の必要回数を整理します。
最低3日分と、できれば備えたい7日分の両方を確認しておきましょう。
1人暮らしの場合
1人暮らしの場合、最低3日分なら15回分が目安です。
7日分なら35回分です。
一人暮らしでは収納スペースが限られることもありますが、携帯トイレは比較的コンパクトに保管できるものが多くあります。
まずは15回分を用意し、余裕があれば35回分へ増やしていきましょう。
目安は以下です。
3日分:15回分
7日分:35回分
2人暮らしの場合
2人暮らしの場合、最低3日分なら30回分が目安です。
7日分なら70回分です。
2人暮らしでは、30回分のセットを1つ用意するだけでは、長引く断水には不安が残る場合があります。
在宅避難を想定するなら、70回分を目標に少しずつ増やすと安心です。
目安は以下です。
3日分:30回分
7日分:70回分
3人家族の場合
3人家族の場合、最低3日分なら45回分が目安です。
7日分なら105回分です。
子どもがいる家庭では、回数に余裕を持っておくと安心です。
子どもはトイレのタイミングを調整しにくいことがありますし、使い方に慣れていないと失敗することもあります。
練習用に数回分を使ってみることも考えると、少し多めに備えておくとよいでしょう。
目安は以下です。
3日分:45回分
7日分:105回分
4人家族の場合
4人家族の場合、最低3日分なら60回分が目安です。
7日分なら140回分です。
4人家族になると、必要な回数はかなり多くなります。
しかし、家族4人が1週間在宅避難する可能性を考えると、140回分は現実的な備えです。
最初からすべてそろえるのが難しい場合は、まず60回分を用意し、その後、買い足して140回分に近づけるとよいでしょう。
目安は以下です。
3日分:60回分
7日分:140回分
5人家族の場合
5人家族の場合、最低3日分なら75回分が目安です。
7日分なら175回分です。
家族が多いほど、トイレの備蓄は重要になります。
水や非常食と同じように、人数分を意識して準備しましょう。
収納スペースが心配な場合は、1か所にまとめず、トイレ近く、玄関収納、押し入れなどに分けて保管する方法もあります。
目安は以下です。
3日分:75回分
7日分:175回分
災害時にトイレが使えなくなる理由
災害時にトイレが使えなくなる理由は、断水だけではありません。
水があっても、排水設備に問題があると使えないことがあります。
断水で水が流せない
断水すると、トイレのタンクに水がたまらなくなり、水を流せなくなります。
お風呂の残り湯を使って流せる場合もありますが、いつでも安全に流せるとは限りません。
特に地震後は、排水管や下水道に損傷がないか分からないことがあります。
無理に水を流すと、汚水が逆流したり、下の階に漏れたりする可能性があります。
断水時は、すぐに水で流そうとせず、自治体や管理組合などの案内を確認しましょう。
排水管や下水道が損傷する可能性がある
地震では、建物内の排水管や、道路の下にある下水道が損傷することがあります。
排水管が壊れている状態でトイレを使うと、汚水漏れや逆流につながるおそれがあります。
戸建てでもマンションでも、排水設備の安全が確認できるまでは注意が必要です。
特にマンションでは、上の階で流した汚水が下の階に漏れる可能性もあります。
災害時は、「水があるから流せる」と考えず、排水できる状態かどうかを確認することが大切です。
停電でマンションの設備が止まることがある
マンションでは、停電によって給水ポンプが止まり、水が出なくなることがあります。
高層階では、停電の影響を受けやすい場合もあります。
また、エレベーターが止まると、水を運ぶことも難しくなります。
マンションで在宅避難を考える場合、水や食料だけでなく、トイレの備えも特に重要です。
携帯トイレを十分に備えておけば、断水時でも自宅の便器を使って排泄環境を確保しやすくなります。
簡易トイレ・携帯トイレ・非常用トイレの違い
災害用トイレには、いくつかの種類があります。
商品名もさまざまなので、混乱しやすいところです。
ここでは、家庭で備えるときに知っておきたい基本的な違いを整理します。
携帯トイレ
携帯トイレは、主に既存の便器に袋をかぶせて使うタイプです。
凝固剤で排泄物を固め、袋ごと処理します。
自宅のトイレ空間をそのまま使えるため、在宅避難では特に使いやすい備えです。
断水時でも、便器そのものが壊れていなければ、便座に袋を設置して使えます。
家庭でまず備えるなら、携帯トイレを人数分用意するのが現実的です。
簡易トイレ
簡易トイレは、便座や本体が付いた組み立て式のトイレを指すことが多いです。
自宅の便器が使えない場合や、屋外・車中泊などで使う場合に役立ちます。
ただし、保管スペースが必要です。
家庭では、携帯トイレを基本にしつつ、必要に応じて簡易トイレを追加する考え方が取り入れやすいでしょう。
凝固剤・処理袋
携帯トイレや簡易トイレには、凝固剤と処理袋が必要です。
凝固剤は、排泄物を固め、処理しやすくするためのものです。
処理袋は、使用後の排泄物を密閉して保管・廃棄するために使います。
商品によっては、凝固剤と袋がセットになっているものもあります。
購入前に、何回分入っているか、袋と凝固剤がそろっているかを確認しましょう。
簡易トイレを選ぶときのポイント
簡易トイレや携帯トイレを選ぶときは、価格だけでなく、使いやすさや保管のしやすさも確認しましょう。
必要回数を満たしているか
まず確認したいのは、必要回数を満たしているかです。
1人1日5回を目安に、家族人数と日数で計算します。
たとえば、4人家族で3日分なら60回分、7日分なら140回分です。
50回セットを1箱買っただけでは、4人家族の3日分にも足りません。
商品名だけで判断せず、実際に何回分入っているかを確認しましょう。
凝固剤と袋がセットになっているか
携帯トイレは、凝固剤と袋がそろっていないと使いにくい場合があります。
凝固剤だけ、袋だけの商品もあります。
購入時には、以下を確認しましょう。
- 便器にかぶせる袋があるか
- 凝固剤が入っているか
- 処理袋があるか
- 何回分セットか
- 使用後に密閉できるか
災害時に足りないものがあると困ります。
セット内容は必ず確認しておきましょう。
におい対策があるか
災害時のトイレで気になるのがにおいです。
使用後すぐにごみとして出せるとは限らないため、一定期間、自宅で保管する可能性があります。
そのため、防臭袋や消臭機能付きの袋があると安心です。
特にマンションや集合住宅では、におい対策は重要です。
携帯トイレ本体だけでなく、防臭袋も一緒に備えておくとよいでしょう。
保管しやすいか
簡易トイレや携帯トイレは、家族人数分をそろえると量が多くなります。
保管しやすいサイズか、収納場所に入るかを確認しておきましょう。
おすすめの保管場所は以下です。
- トイレの近く
- 洗面所
- 玄関収納
- 廊下収納
- 防災用品の収納ボックス
いざというときにすぐ使えるよう、トイレの近くに一部を置いておくと安心です。
使い方が分かりやすいか
災害時に初めて使うと、戸惑う可能性があります。
説明が分かりやすい商品を選び、家族にも使い方を共有しておきましょう。
可能であれば、1回分を試しに使ってみるのもおすすめです。
実際に袋の設置方法や凝固剤の使い方を確認しておけば、災害時に慌てにくくなります。
簡易トイレと一緒に備えたいもの
簡易トイレや携帯トイレは、単体で用意するだけでは不十分な場合があります。
実際に使うことを考えると、以下のものも一緒に備えておくと安心です。
- トイレットペーパー
- ウェットティッシュ
- アルコール消毒液
- 使い捨て手袋
- 防臭袋
- 黒いポリ袋
- 大きめのごみ袋
- 新聞紙
- 消臭剤
- LEDランタン
- 目隠し用ポンチョ
- 生理用品
- 子ども用おむつ
- 大人用おむつ
停電時にはトイレが暗くなることがあります。
トイレ用のLEDランタンや、置き型ライトがあると安心です。
また、断水時は手洗いが難しくなるため、ウェットティッシュやアルコール消毒液も必要です。
使用後の袋を扱うことを考えると、使い捨て手袋もあると衛生的です。
災害時にトイレを使うときの注意点
災害時のトイレでは、いくつか注意したいことがあります。
水洗トイレをすぐに流さない
断水時や地震後は、水があってもトイレをすぐに流さない方がよい場合があります。
排水管や下水道が損傷していると、汚水漏れや逆流の原因になる可能性があります。
自治体やマンション管理組合からの案内を確認し、安全が分かるまでは携帯トイレを使う方が安心です。
トイレを我慢しない
災害時にトイレが使いにくいと、水分を控えたり、トイレを我慢したりする人がいます。
しかし、トイレを我慢するために水分を取らないと、脱水や体調不良につながる可能性があります。
特に高齢者や子どもは注意が必要です。
簡易トイレを備えておくことは、安心して水分を取るためにも大切です。
使用後の袋は密閉して保管する
使用後の携帯トイレは、袋をしっかり密閉します。
すぐにごみとして出せない場合は、においや衛生面に注意しながら一時保管する必要があります。
防臭袋やふた付きの容器を用意しておくと安心です。
処分方法は、災害時の自治体の案内に従いましょう。
平常時に、自治体の分別ルールも確認しておくとよいでしょう。
簡易トイレの保管と見直し
簡易トイレや携帯トイレは、用意したあとも定期的に見直しましょう。
確認したいポイントは以下です。
- 必要回数が足りているか
- 家族人数が変わっていないか
- 凝固剤の使用期限が切れていないか
- 袋が劣化していないか
- 保管場所が分かりやすいか
- 家族が使い方を知っているか
- トイレットペーパーや防臭袋もそろっているか
特に、凝固剤には使用期限がある場合があります。
長期間保管している場合は、定期的に確認しましょう。
また、防災リュックに数回分、自宅のトイレ近くにまとまった回数分を置くなど、保管場所を分けるのもおすすめです。
まず買うなら何回分から始める?
これから簡易トイレを準備するなら、まずは家族3日分を目標にしましょう。
計算式は、
1人1日5回 × 家族の人数 × 3日
です。
1人暮らしなら15回分。
2人暮らしなら30回分。
3人家族なら45回分。
4人家族なら60回分。
5人家族なら75回分です。
最初から7日分をそろえるのが難しい場合でも、まず3日分があるだけで安心感は大きく変わります。
その後、少しずつ買い足して7日分に近づけましょう。
トイレは、水や食料と同じくらい大切な備えです。
後回しにせず、早めに準備しておくことをおすすめします。
まとめ|簡易トイレは「1人5回×人数×日数」で考える
簡易トイレや携帯トイレは、災害時の在宅避難に欠かせない備えです。
断水や停電、排水管の損傷などにより、水洗トイレが使えなくなることがあります。
必要回数は、1人1日5回を目安に考えます。
計算式は以下です。
1人1日5回 × 家族の人数 × 日数
最低3日分、できれば7日分を目標にしましょう。
家族人数別の目安は以下です。
1人暮らし:3日分15回分、7日分35回分
2人暮らし:3日分30回分、7日分70回分
3人家族:3日分45回分、7日分105回分
4人家族:3日分60回分、7日分140回分
5人家族:3日分75回分、7日分175回分
数字で見ると多く感じるかもしれません。
しかし、トイレは我慢できるものではありません。
トイレを我慢するために水分を控えると、脱水や体調不良につながるおそれもあります。
災害時に安心して水分を取り、在宅避難を続けるためにも、簡易トイレや携帯トイレは早めに備えておきましょう。
まずは家族3日分から始め、少しずつ7日分へ増やしていくのがおすすめです。
水、非常食、照明、モバイルバッテリーとあわせて、トイレの備えも家庭防災の基本として見直してみてください。
参考情報
本記事は、以下の公的機関等の情報を参考に作成しています。
・経済産業省
「トイレ備蓄 忘れていませんか」
2023年11月13日更新
災害時には断水や下水配管の損傷により家庭の水洗トイレが使えなくなることがあり、1人あたり35回分、7日分の災害時トイレ備蓄が必要と案内されています。
・内閣府 防災情報のページ
「トイレ備蓄忘れていませんか?」
令和6年度掲載
成人の1日の平均排泄回数は1人あたり5回とされ、経済産業省では1週間分として1人あたり35回分を備蓄目安としていることが紹介されています。
・内閣府
「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」
2024年12月改定
トイレの平均的な使用回数は1日5回として、備蓄や災害時用トイレの確保を考えることが示されています。
・東京都
「広報東京都 自宅での避難生活に役立つ今すぐできる防災アクション」
2025年9月1日公開
災害用トイレの最低限の備蓄目安として、1日5個×3日分×家族の人数という考え方が紹介されています。
確認日:2026年6月4日