戸建ての防災対策|地震・台風・停電に備えるポイント
戸建ての防災は「建物・土地・暮らし」を分けて考える
戸建て住宅の防災対策は、マンションとは少し考え方が異なります。
マンションでは、エレベーターや給水ポンプ、排水管、共用部など、建物全体の設備に関わる問題が大きくなります。
一方で戸建てでは、屋根、外壁、窓、庭、駐車場、塀、排水口、周辺道路など、自分で確認・管理する範囲が広くなります。
戸建ての防災は、大きく3つに分けて考えると整理しやすくなります。
1つ目は、建物の備えです。
屋根、外壁、窓、雨どい、玄関、塀、物置など、地震や台風で被害を受けやすい部分を確認します。
2つ目は、土地・周辺環境の備えです。
ハザードマップで、浸水、土砂災害、液状化、高潮、津波などのリスクを確認します。
3つ目は、暮らしを続けるための備えです。
保存水、非常食、簡易トイレ、照明、モバイルバッテリー、ポータブル電源、カセットコンロ、衛生用品など、在宅避難に必要なものを準備します。
戸建ては、災害時に自宅で過ごしやすい面もあります。
ただし、建物や周辺環境に危険がある場合は、在宅避難にこだわらず、安全な場所へ避難することが大切です。
戸建てで起こりやすい災害時の困りごと
戸建て住宅では、地震・台風・大雨・停電・断水などで、さまざまな困りごとが起こります。
まずは、どのようなリスクがあるのかを知っておきましょう。
地震で家具や家電が倒れる
地震時には、家具や家電が倒れたり、移動したりすることがあります。
背の高い家具、食器棚、本棚、テレビ、冷蔵庫、電子レンジなどは、転倒・落下・移動の対策が必要です。
家具が倒れると、けがの原因になるだけでなく、ドアや廊下をふさいで避難の妨げになることがあります。
特に寝室、子ども部屋、高齢の家族が過ごす部屋では、家具の配置や固定を確認しておきましょう。
台風で屋根・外壁・窓が被害を受ける
台風では、強風や飛来物によって屋根、外壁、窓、雨どいなどが被害を受けることがあります。
屋根材が浮いている、雨どいが外れかけている、外壁にひびがある、窓や雨戸の建て付けが悪いといった状態は、台風時に被害が大きくなる可能性があります。
台風が近づいてから屋根に上るのは非常に危険です。
屋根や外壁の点検は、平常時に行いましょう。
気になる箇所がある場合は、無理に自分で作業せず、専門業者へ相談することも大切です。
庭や駐車場の物が飛ばされる
戸建てでは、庭や駐車場、玄関まわりに物を置いている家庭も多いと思います。
植木鉢、プランター、物干し竿、自転車、ごみ箱、ガーデンチェア、物置の中身、子どもの遊具などは、台風時に飛ばされる可能性があります。
飛ばされた物は、自宅の窓を割るだけでなく、近隣の家や通行人に被害を与えることもあります。
台風前には、外にある物を室内や物置へ入れ、動かせないものは固定しましょう。
停電・断水・ガス停止が起きる
地震や台風では、停電、断水、ガス停止が起きることがあります。
停電すると、照明、冷蔵庫、スマートフォンの充電、通信機器などに影響が出ます。
断水すると、飲み水、調理、手洗い、トイレ、入浴が難しくなります。
ガスが止まると、調理や給湯ができなくなることがあります。
戸建てで在宅避難をするには、ライフラインが止まっても数日間過ごせる備えが必要です。
浸水や土砂災害のリスクがある
戸建ては、建っている土地の影響を大きく受けます。
川の近く、低い土地、海に近い地域、斜面地、造成地などでは、浸水、高潮、津波、土砂災害、液状化などのリスクがあります。
自宅がどのような場所にあるのか、ハザードマップで確認しておきましょう。
同じ市区町村でも、場所によってリスクは異なります。
「周りが住宅地だから大丈夫」と思い込まず、自宅周辺の災害リスクを確認することが大切です。
地震に備えて室内でできる対策
地震対策では、まず家の中でけがをしないことが重要です。
家具の固定や避難経路の確保は、今日から始めやすい防災対策です。
家具・テレビ・冷蔵庫を固定する
背の高い家具や重い家電は、地震の揺れで倒れたり移動したりすることがあります。
固定したいものは以下です。
- 本棚
- 食器棚
- タンス
- テレビ
- 冷蔵庫
- 電子レンジ
- パソコン
- ピアノ
- 水槽
家具の固定には、L字金具、突っ張り棒、ストッパー式器具、粘着マットなどがあります。
家具の種類や壁の状態に合わせて、適切な方法を選びましょう。
特にテレビや冷蔵庫は、倒れるとけがや避難経路の妨げになる可能性があります。
できる範囲から固定しておくことが大切です。
寝室と避難経路を安全にする
地震は、寝ている時間に起こることもあります。
寝室では、ベッドや布団の近くに倒れやすい家具を置かないようにしましょう。
また、玄関までの通路に大きな家具や荷物があると、避難時に通れなくなる可能性があります。
確認したいポイントは以下です。
- 寝ている場所に家具が倒れてこないか
- ドアの前に家具が倒れてこないか
- 廊下や階段に物が多くないか
- 玄関までのルートが確保されているか
- 夜間でも使えるライトがあるか
- 寝室にスリッパや靴があるか
割れたガラスや落下物の上を歩く可能性もあるため、寝室にスリッパや靴を置いておくと安心です。
ガラス飛散防止対策をする
地震や台風では、窓ガラスや食器棚のガラスが割れることがあります。
ガラスが床に散らばると、避難時にけがをする危険があります。
対策としては、以下があります。
- 窓に飛散防止フィルムを貼る
- 食器棚の扉に開放防止器具を付ける
- 食器を詰め込みすぎない
- 重い食器を低い場所に置く
- カーテンを閉める習慣をつける
すべての窓にすぐ対策できなくても、寝室やリビングなど、長く過ごす場所から始めるとよいでしょう。
火災・通電火災に備える
地震後は、火災にも注意が必要です。
ストーブや調理器具、電気配線、倒れた家具などが火災の原因になることがあります。
また、停電後に電気が復旧した際、電気機器や配線から出火する通電火災が起きることもあります。
家庭でできる備えは以下です。
- 消火器を用意する
- 住宅用火災警報器を確認する
- コンセント周りを整理する
- ストーブの周囲に燃えやすいものを置かない
- 避難時にブレーカーを落とすことを考える
- 感震ブレーカーの設置を検討する
感震ブレーカーは、地震の揺れを感知して電気を遮断する機器です。
地震火災対策のひとつとして、戸建てでも検討できます。
台風に備えて家の外で確認したいこと
戸建てでは、家の外の対策も重要です。
台風が近づいてから屋外作業をするのは危険です。
風が強くなる前、雨が強くなる前に確認しましょう。
屋根・雨どい・外壁を点検する
屋根、雨どい、外壁は、台風や大雨の影響を受けやすい部分です。
確認したいポイントは以下です。
- 屋根材が浮いていないか
- 雨どいが外れかけていないか
- 外壁に大きなひびがないか
- 軒天に傷みがないか
- 雨漏りの跡がないか
- アンテナが傾いていないか
ただし、台風前に屋根へ上るのは危険です。
高所作業は無理に行わず、平常時に点検することが大切です。
気になる箇所がある場合は、専門業者に相談しましょう。
庭・ベランダ・駐車場の物を片付ける
台風前には、庭やベランダ、駐車場にある飛ばされやすい物を片付けます。
確認したいものは以下です。
- 植木鉢
- プランター
- 物干し竿
- 自転車
- ごみ箱
- ガーデンチェア
- テーブル
- ほうき
- バケツ
- 子どもの遊具
- 物置の扉
- カーポート周辺の物
室内に入れられるものは入れ、難しいものは固定します。
物置の扉がしっかり閉まるか、カーポートやフェンスに不具合がないかも確認しましょう。
窓・雨戸・シャッターを確認する
台風では、飛来物で窓が割れることがあります。
窓や雨戸、シャッターは早めに閉め、しっかり施錠しましょう。
雨戸やシャッターがない窓には、飛散防止フィルムやカーテンで備える方法もあります。
窓の近くには、割れたときに濡れたり壊れたりして困るものを置かないようにしましょう。
台風のピークが夜間になる場合は、窓の近くで寝ないことも大切です。
側溝・排水口の水はけを確認する
大雨に備えて、家の周りの側溝や排水口を確認しましょう。
落ち葉やごみで詰まっていると、水はけが悪くなり、浸水の原因になることがあります。
確認したい場所は以下です。
- 玄関前
- 駐車場
- 庭
- ベランダ
- 勝手口
- 雨どいの排水先
- 道路側の側溝
掃除は、雨が強くなる前に行いましょう。
大雨の中で側溝をのぞいたり、用水路を見に行ったりするのは危険です。
停電に備えて準備するもの
戸建てでは、台風や地震によって停電が起きることがあります。
停電時に困るのは、照明、スマートフォン充電、冷蔵庫、通信、暑さ・寒さ対策です。
LEDランタン・懐中電灯
停電時の照明として、LEDランタンと懐中電灯を用意しましょう。
LEDランタンは部屋全体を照らすのに向いています。
懐中電灯は、移動や手元の確認に便利です。
確認したいポイントは以下です。
- 点灯するか
- 電池が入っているか
- 予備電池があるか
- 充電式なら充電されているか
- 家族が置き場所を知っているか
- トイレや寝室にも置いてあるか
スマートフォンのライトだけに頼ると、充電を消費してしまいます。
専用の照明を用意しておきましょう。
モバイルバッテリー
災害時、スマートフォンは連絡や情報収集に欠かせません。
モバイルバッテリーは、家族人数分を意識して準備しましょう。
台風が近づく前や地震後に停電が予想される場合は、スマートフォンとモバイルバッテリーを早めに充電しておきます。
充電ケーブルも忘れずに確認しましょう。
ポータブル電源
停電が長引くことを考えるなら、ポータブル電源も検討できます。
ポータブル電源があると、スマートフォンの充電、LEDランタン、小型扇風機、電気毛布、冷蔵庫の一時使用などに役立つ場合があります。
戸建てでは、庭や日当たりのよい場所でソーラーパネルを使いやすい場合もあります。
ただし、天候に左右されるため過信は禁物です。
ポータブル電源は、容量・出力・安全性・保管場所を確認して選びましょう。
冷蔵庫・冷凍庫の対策
停電時は、冷蔵庫や冷凍庫の扉をできるだけ開けないことが基本です。
開けるたびに冷気が逃げ、庫内温度が上がりやすくなります。
台風前には、保冷剤やペットボトルの水を凍らせておくと、停電時の保冷に役立つ場合があります。
また、傷みやすい食品は早めに食べる、冷蔵庫内を整理しておくなどの準備もできます。
不安な食品は、停電後に無理に食べないことも大切です。
断水・トイレに備えて準備するもの
戸建てでも、地震や台風によって断水が起きることがあります。
水とトイレの備えは、在宅避難の基本です。
保存水
保存水は、1人1日3リットルが目安です。
まずは3日分、できれば1週間分を目標に準備しましょう。
4人家族なら、3日分で36リットル、1週間分で84リットルが目安です。
水は重く、災害後にまとめて運ぶのは大変です。
普段から少しずつ備えておきましょう。
生活用水
飲料水とは別に、生活用水も必要です。
手洗い、体拭き、掃除、トイレなどに使う水です。
お風呂の残り湯を生活用水として活用する方法もあります。
ただし、飲料水には向きません。
また、地震後に排水管や下水道が損傷している可能性がある場合は、トイレに水を流すことには注意が必要です。
簡易トイレ・携帯トイレ
断水時や排水設備に不安がある場合、簡易トイレや携帯トイレが役立ちます。
必要回数は、1人1日5回が目安です。
最低3日分、できれば7日分を備えましょう。
4人家族なら、3日分で60回分、7日分で140回分です。
戸建てでも、トイレを我慢することは現実的ではありません。
保存水や非常食と同じように、簡易トイレも優先して備えておきましょう。
衛生用品
断水時は、手洗いや入浴が難しくなります。
衛生用品として、以下を用意しておきましょう。
- ウェットティッシュ
- 体拭きシート
- 歯みがきシート
- アルコール消毒液
- 使い捨て手袋
- ごみ袋
- 防臭袋
- トイレットペーパー
- 生理用品
- ドライシャンプー
水を節約しながら衛生を保つために、こうした用品も備えておくと安心です。
戸建てで在宅避難するための備蓄
戸建てで在宅避難をする場合、自宅で数日間生活できる備えが必要です。
まずは3日分、できれば1週間分を目標にしましょう。
準備したいものは以下です。
- 保存水
- 非常食
- 簡易トイレ・携帯トイレ
- LEDランタン
- 懐中電灯
- モバイルバッテリー
- ポータブル電源
- カセットコンロ
- ガスボンベ
- 救急用品
- 常備薬
- 衛生用品
- ごみ袋
- 現金
- 重要書類のコピー
- 家族の連絡先メモ
戸建てでは、収納スペースを確保しやすい家庭もあります。
ただし、物置や屋外収納にすべて入れてしまうと、台風や浸水、倒壊で取り出せない可能性があります。
水、非常食、簡易トイレ、照明などは、室内の取り出しやすい場所に分散して保管すると安心です。
浸水・土砂災害に備えて確認したいこと
戸建てでは、自宅の土地や周辺環境のリスク確認が重要です。
ハザードマップで、以下を確認しましょう。
- 洪水リスク
- 内水氾濫
- 高潮
- 津波
- 土砂災害
- 液状化
- 避難場所
- 避難経路
国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、洪水・土砂災害・高潮・津波などのリスク情報を確認できます。
浸水リスクがある場合は、次の備えを検討しましょう。
- 貴重品を高い場所へ移す
- 電化製品を床に置かない
- 土のう・水のうを用意する
- 車を低い場所に置かない
- 早めに避難する
- 避難ルートを複数確認する
土砂災害リスクがある場所では、雨が強くなってからの避難は危険です。
避難情報を確認し、早めの行動を心がけましょう。
戸建て購入前・入居後に確認したい防災ポイント
戸建てを購入する前や、入居後に確認したい防災ポイントもあります。
確認したい項目は以下です。
- 建物の耐震性
- 築年数
- 屋根・外壁の状態
- 雨どいの状態
- 窓・雨戸・シャッターの有無
- ハザードマップ上のリスク
- 浸水想定
- 土砂災害警戒区域かどうか
- 液状化リスク
- 津波・高潮リスク
- 避難場所までの距離
- 避難経路
- 周辺道路の冠水リスク
- ブロック塀や擁壁の状態
- カーポートや物置の固定状況
- 停電時の備え
- 断水時の備え
防災面は、購入前だけでなく入居後にも見直せます。
家具の配置、備蓄品の保管場所、庭まわりの整理、雨どいの掃除など、できることから始めましょう。
今日からできる戸建て防災チェックリスト
戸建て防災は、確認する範囲が広いため、少しずつ進めることが大切です。
今日からできることをチェックリストにすると、取り組みやすくなります。
- 寝室に倒れそうな家具がないか確認する
- 家具やテレビを固定する
- 玄関までの避難経路を片付ける
- 保存水を家族3日分用意する
- 非常食を3日分用意する
- 簡易トイレを家族3日分用意する
- LEDランタンと懐中電灯を確認する
- モバイルバッテリーを充電する
- カセットコンロとガスボンベを確認する
- 庭やベランダの飛ばされやすい物を片付ける
- 雨どい・排水口の詰まりを確認する
- 窓・雨戸・シャッターを確認する
- ハザードマップで自宅周辺のリスクを確認する
- 避難場所と避難経路を家族で確認する
- 常備薬や重要書類のコピーを用意する
最初からすべてを完璧にする必要はありません。
まずは、けがを防ぐ対策と、水・食料・トイレ・照明の備えから始めるとよいでしょう。
まとめ|戸建て防災は家の内外を少しずつ整えることが大切
戸建ての防災対策は、建物・土地・暮らしを分けて考えると整理しやすくなります。
建物の備えとしては、家具の固定、窓ガラス対策、屋根・外壁・雨どいの確認、庭や駐車場の片付けが大切です。
土地の備えとしては、ハザードマップで浸水、土砂災害、高潮、津波、液状化などのリスクを確認します。
暮らしの備えとしては、保存水、非常食、簡易トイレ、照明、モバイルバッテリー、ポータブル電源、カセットコンロ、衛生用品などを準備します。
戸建ては、自宅が安全であれば在宅避難しやすい住まいです。
一方で、屋根や外壁、庭、排水口、塀、駐車場など、自分で確認すべき範囲も広くなります。
まずは、今日できることから始めましょう。
寝室の家具を見直す。
保存水を1ケース用意する。
簡易トイレを家族分そろえる。
庭の飛ばされやすい物を片付ける。
ハザードマップで自宅周辺のリスクを確認する。
小さな行動の積み重ねが、災害時の安心につながります。
戸建て防災は、特別なことを一度にするものではありません。
日常の暮らしの中で、家の内外を少しずつ整えていきましょう。
参考情報
本記事は、以下の公的機関等の情報を参考に作成しています。
・首相官邸
「災害が起きる前にできること」
確認日:2026年6月4日
食料・飲料・生活必需品などの備蓄例として、飲料水は1人1日3リットルを目安に3日分、非常食も3日分、携帯トイレ・簡易トイレなどを人数分用意することが案内されています。また、大規模災害発生時には1週間分の備蓄が望ましいとされています。
・政府広報オンライン
「災害に備えた家庭備蓄のポイント」
2026年2月13日公開
水は1人1日3リットル、食品は最低3日から1週間分備えることが望ましいと案内されています。
・東京消防庁
「地震に対する10の備え」
2025年12月12日更新
家具類の転倒・落下・移動防止対策、けが防止、消火の備え、非常用品の備えなど、地震に対する家庭での備えが案内されています。
・気象庁
「自分で行う災害への備え」
確認日:2026年6月4日
台風や大雨への備えとして、家の外の備えは大雨が降る前・風が強くなる前に行うこと、窓や雨戸の施錠・補強、側溝や排水口の清掃、飛ばされそうな物の固定・格納などが案内されています。
・国土交通省・国土地理院
「ハザードマップポータルサイト」
確認日:2026年6月4日
洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを確認できるサービスです。
確認日:2026年6月4日